スクウェア・エニックスは、ドット絵と3DCGが融合した「HD-2D」技術を用いた完全新作RPG『Final Fantasy Resonance(ファイナルファンタジー レゾナンス)』を、2026年10月22日にマルチプラットフォームで発売すると発表しました。

本作は、クリスタルや飛空艇といった往年の名作FFの遺伝子を受け継ぎ、オクトパストラベラー譲りの戦略的なコマンドバトルを搭載した、大人のゲーマーに捧げるクラシカルなRPGです。リアルな3D超大作に胃もたれを起こした層にとって、本作は良質な薬となる可能性を秘めています。

しかし、その美しいドット絵の裏には、コンソールゲームとして見過ごせないいくつかの深刻な病巣が潜伏しています。

1. 夢の世界の生存戦略:実家に帰ってきた安心感と、贅沢なお祭り要素の融合

本作最大の強みは、剣と魔法、クリスタルといった「あの頃のFF」の記号が100%の純度で詰まっている点にあります。

3Dグラフィックの肥大化から離れ、ドット絵の温かみと現代のエフェクトを融合させたビジュアルは、大人のゲーマーの感性を最も効率よく癒やす特効薬です。戦闘面でも、ターン制をベースに「ブレイク」や「レゾナンス」といった深い戦略性が盛り込まれており、じっくり腰を据えて数の一手を熟考する楽しさが保証されています。さらに、歴代FF主人公の力を借りる「ビジョン」システムや、クリア後の「十二武具の間」など、オフライン専用のやり込み要素が豊富に用意されている点も、ファンにとっては極めて贅沢な仕様と言えます。……まあ、かつてドット絵だったキャラが3Dになり、28年経ってまたドット絵に戻るという、スクエニの壮大な円環の理(リサイクル)に付き合わされているとも言えますが。

1+α. Emmaの視点①:スマホアプリ「FFBE」の遺伝子がもたらす、物語への拒絶反応

本作の美しさを脅かす最初の病巣は、これがスマホアプリ『FFBE(ブレイブエクスヴィアス)』の素材と世界観をベースにした再構築版(実質的なコンソール移植)であるという出自そのものです。

フルプライス(通常版7,678円)という強気な外科手術の費用を請求する割には、純粋なナンバリング級の「完全新規IP」としての熱量を感じにくいのが現状です。さらに、主人公レインたちの物語自体は新鮮であるにもかかわらず、戦闘や育成で「歴代FFキャラのビジョン(生霊のようなもの)」を装備して戦う仕様のせいで、本作単体の世界観やストーリーへの没入感が著しく削がれるリスクを孕んでいます。世界の危機よりも「なぜここにクラウドがいるのか」というゲシュタルト崩壊と戦うハメになりそうですね。

1+β. Emmaの視点②:HD-2Dのインフレ耐久戦という「時間泥棒」の副作用

さらに、戦闘システムやエンドコンテンツにおける、ソシャゲ由来の「数値の暴力」という慢性疾患にもメスを入れる必要があります。

戦闘はオクトパストラベラーのシステムをほぼそのまま流用(お色直し)した形であり、スクエニによるHD-2Dの乱発も手伝って、かつてのような映像的衝撃や新鮮味はすでに希薄です。また、やり込み要素として用意された「十二武具の間」や「アルテマウェポン討伐」は、下手をするとスマホ版特有の「桁違いのHPを持つ敵と、それを削るための不毛な数値インフレ耐久戦」という、ただ時間が溶けるだけの周回・レベル上げ作業に変異する危険性があります。これは、タイパを重視する大人のゲーマーにとって致命的な副作用となり得ます。仕事帰りに、ドット絵の敵のHPを何百万も削る作業を「極上の癒やし」と呼ぶのはどうか、という気もします。

2. 潜伏する病巣の予診:フルプライスの価値と、代わり映えしない安心の限界

予診すべき病巣は、本作が「スマホ版のサービス終了に伴うコンソール救済措置」という文脈を完全に拭いきれていない点です。

テンポを良くしただけの従来の「いつものターン制」は、安心感と引き換えに、ゲームデザインとしての代わり映えのなさを露呈しています。ソシャゲ時代のインフレバランスがそのままコンソールに移植されていれば、ボリュームがあるのではなく「ただクリアに時間がかかるだけの不親切な設計」と判断されるでしょう。フルプライスを支払って手に入るものが、スマホの記憶の焼き直しと、オクトラの戦闘システムの使い回しであるならば、ユーザーの免疫システムはこれを「手抜き」として激しく拒絶することになります。


とはいえ、「あの頃のFF」の空気感を現代の技術でじっくりと堪能できる選択肢が提示されたこと自体、現在の市場において貴重な治療薬であることは確かです。

3. 総合診断および処方箋

総評として、本作はスマホアプリの血統をHD-2Dという美しいメスで再縫合し、コンソール向けに仕立て直した野心的なハイブリッド個体です。クリスタルとターン制という「実家の安心感」は大人のゲーマーに深く刺さる特効薬となりますが、ビジョンシステムによる物語のノイズや、ソシャゲ由来のインフレ周回作業という副作用には強い警戒が必要です。フルプライスを支払うだけの「完全新作としての純度」が本当にあるのか、臨床データを慎重に見極める必要があります。

  • Emmaの処方(結論): 「FFのクラシカルな世界観を愛しており、スマホ版の呪縛(ガチャ)なしで濃厚なエンドコンテンツやドット絵の戦略バトルをじっくり貪りたいユーザーは、10月の発売日に向け所有ハードでの受け入れを検討しなさい。逆に、スマホ版の焼き直し感や、代わり映えのしない戦闘システム、および時間を浪費させられるだけのインフレ周回リスクを過度に懸念する層は、実機レビューでソシャゲの悪癖が完全に切除されていることが確認されるまで、購入を保留しなさい」

かつて「無料(無課金)」で遊べた世界の住人たちに会うために、今度は7,000円以上のお薬代を支払う。……スクエニの集金プロトコルに対するファンの信仰心って、本当に不治の病ね。

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Emma
Emma
研修医Emmaが新着のゲームやパーツを診察台に載せ、良いところも悪いところも、データが示す通りに一刀両断します。メーカーの麻酔(誇大広告)にはかからない、おべっかなしの記事をあなたへ。

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