『飢えた子羊』レビュー|重いテーマを扱うビジュアルノベルとしてどこまで楽しめる?

基本情報

『飢えた子羊』は、中国のインディー開発チーム「ZerocreationGame(零创游戏)」が開発を手掛け、ZerocreationGameと2P Gamesより発売されたダークな歴史ビジュアルノベルです。 2024年4月22日のSteam版発売以来、重いテーマを扱う歴史ものや、ビジュアルノベルが好きなユーザーから高い評価を得ています。
今回のレビュー対象は、2024年10月23日のアップデートで日本語ボイスが実装されたバージョンです。

正式タイトル飢えた子羊
開発・販売元開発:ZerocreationGame(零创游戏) / 販売:ZerocreationGame、2P Games
発売日PC版(Steam):2024年4月22日 / Nintendo Switch版:2025年3月13日
対応プラットフォームPC、Nintendo Switch
ジャンルアドベンチャー、インディー、RPG、ビジュアルノベル
CEROD(17才以上対象)
価格(税込)PC版:通常1,200円、セール時780円 / Switch版:1,870円

PC / Steam評価・配信状況

『飢えた子羊』はSteamでかなり高い評価を得ている作品です。
全言語のレビュー総数は58,497件で、そのうち好評が55,308件、不評が3,189件で、「非常に好評」となっています。2026年4月時点で、全体の好評率は約94.5%、最近30日間のレビューは775件中90%が好評、こちらも「非常に好評」です。日本語レビューも259件中96%が好評と、日本語圏でも高評価が目立ちます。Metacriticスコアも79点と、メディア評価もおおむね良好です。

物語と世界観:乱世を生きる“子羊たち”の旅路

舞台は明朝末期の中国。深刻な飢饉と戦乱で社会が崩れかけている時代です。物語のテーマには、「復讐、暗殺、飢饉、人身売買、人肉食」といった、かなりハードな言葉が並んでいます。

プレイヤーは盗賊となり、4人の少女を「華州」から「洛陽」まで運ぶ旅に出ます。単なる人身売買の護送ではなく、旅の途中で真相を解き明かし、選択を重ねていく――というのが物語の軸です。

プレイしてみると、序盤はやや退屈に感じる部分もありますが、飢饉の描写や人々の苦しみがかなりリアルに描かれていて、だんだんと世界観に引き込まれていきます。サブキャラクターやサブクエストも、それぞれに“この時代ならでは”の事情を抱えていて、単なる道中イベントではなく、物語の厚みを増す要素になっています。

物語全体の印象としては、「救いと絶望が入り混じったダークファンタジー」に近いです。歴史ものや、重いテーマを扱う作品が好きな人ほど、じわじわとハマっていくタイプのストーリーだと思います。

ゲームシステムの特徴とプレイフィール

『飢えた子羊』は、いわゆるビジュアルノベルです。ゲーム画面は背景とキャラクター立ち絵、テキストウィンドウという、おなじみの構成です。UIもシンプルで、ログやオート再生、スキップ機能などはしっかり備わっているので、読み進めやすさは問題ありません。

いくつかの選択肢と、それによる物語の分岐があるので、完全に一本道のビジュアルノベルよりもゲームをしている感覚もあります。

良かった点・気になった点

👍 良かった点
  • 物語のリアルさと重さが引き込まれる:
    飢饉や人身売買といったテーマを、かなりストレートに描いているため、単なるエンタメではなく“歴史の重さ”を感じられます。序盤は少しゆるい印象でも、中盤以降は一気に没入感が増してきます。
  • 選択肢の重みがしっかり感じられる:
    戦闘イベントや会話の選択肢が、単なる“正解探し”ではなく、キャラクターの関係性や物語の方向性に直結します。一度クリアしたあとに別ルートを試すと、「あのときこうしていれば……」という後悔や発見が多く、リプレイ性が高いです。
  • キャラクター造形が丁寧:
    4人の少女それぞれに過去や信念があり、旅の中で少しずつ本音が明かされていきます。単なる“護送対象”ではなく、一人ひとりが物語の主役級の厚みを持っているのが良いポイントです。
  • 価格に対してボリュームが十分:
    通常1,200円(セール時780円)で、複数エンディングや分岐を楽しむと、10時間前後のプレイ時間になります。やり込み要素もそこそこあるので、コスパは良い方だと思います。
⚠️ 気になった点
  • 序盤のテンポがやや遅い:
    世界観説明やキャラクター紹介に時間をかけるため、最初の1〜2時間は「まだ本題に入らないのかな」と感じる場面があります。重いテーマを扱う作品なので仕方ない部分もありますが、すぐに“事件”に飛び込むタイプのゲームが好きな人にはじれったいかもしれません。
  • テーマが重く、プレイヤーを選ぶ:
    飢饉や人身売買、人肉食といった描写は、かなりショッキングです。公式でも「流血、暴力、性的暴力を含む」と注意書きされている通り、精神的な負担を感じやすいテーマが多いです。軽い気持ちで遊ぶ作品ではないことは、事前に知っておいたほうが良いです。
  • 一部の演出が直球すぎる:
    残酷な描写をリアルに描くことで物語の説得力を高めている一方で、「もう少し控えめでも良かったのでは」と感じる場面もあります。歴史ものやダークな作品に慣れていないと、途中でプレイを止めたくなる可能性もあります。

価格とボリューム

プレイ時間は、1周目をさっと進めると5〜7時間程度、複数エンディングや分岐をしっかり楽しむと10時間前後になります。

PC版はセール時に780円まで下がることがあり、Switch版も配信再開記念セールで1,496円になるなど、割引機会はそこそこあります。物語をじっくり読みたい人には特に満足度が高いと思います。

こんな人におすすめ

  • 歴史ものやダークなテーマが好きな人
  • ビジュアルノベル・アドベンチャーゲームをよく遊ぶ人
  • 選択肢で物語が変わる作品が好きな人
  • 重いテーマでも、じっくり向き合って読みたい人
hiromin
釘宮さんの演技がハマりすぎ!分岐先のストーリーもどれも良かったなぁ。
総合評価
83 / 100

『飢えた子羊』は、明朝末期という重い時代を舞台に、飢饉や人身売買といったテーマを真正面から描いたビジュアルノベルです。物語は序盤こそゆるいテンポですが、中盤以降は一気に引き込まれ、選択肢の重みも感じられる作りになっています。歴史ものやダークな作品が好きな人には強くおすすめできる一本です。
一方で、テーマの重さや残酷な描写があるため、プレイヤーを選ぶ作品でもあります。「重いテーマを扱うビジュアルノベル」としての完成度は高く、テーマに興味を持った方にはぜひ一度は体験してほしいタイトルです。

投稿者プロフィール

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hiromin
RPG、アクションからノベルゲームまで、気になるものは何でも手を出す雑食ゲーマー。エルデンリング、仁王など死にゲー大好きです。でも得意ではないです。なので、何度も心折れそうになりながらコツコツ進めてます。いつかは華麗なプレイができるようになりたいなぁ。